バイリンガル・マルチリンガル育児の経験談。
前回は2歳半頃までの多言語育児の様子をお伝えしました。
今回は、2歳半を過ぎてからの多言語育児における変化。
そして、子供の成長段階に合わせてどのようなアプローチを下かをご紹介します。
この時期に大切だと思ったのは、日本語が優位になっても。諦めずに多言語への興味を育む工夫です。
【2歳半〜3歳頃】インプットを継続しつつ「きっかけ」を作る
2歳半を過ぎると、言葉の理解力や表現力がさらに豊かになります。
この時期は、多言語でのインプットを継続しつつ、子どもが自ら言葉を使いたくなるような「きっかけ」を意識的に作ることがポイントです。
多言語の歌やDVDを活用!
意識すること:
2歳半のイタリア滞在で、娘のイタリア語は大きく伸びました。
「話したい」「必要性」が子どもの言葉を引き出す大きな原動力になります。
日本に戻ってからも、その感覚を忘れさせないような工夫が必要だと感じました。
実践例:
イタリア語や英語の歌をよく歌うようになり、テレビを見たい時にはイタリア語か英語のDVDにしていた効果を実感。
歌や映像は、言葉を楽しくインプットするのに最適です。
パパが数か国語を話せるので、パパと遊ぶ時はできるだけイタリア語と英語で話してもらいました。
イタリア語で話すことはあまりありない時期でしたが、おばあちゃんやおじいちゃんにイタリア語を教えたりしていました。
その時に思ったことが、意外と単語を知っていたこと。
なので「きちんと聞いて覚えているんだな」と実感しました。
3歳1ヶ月〜3歳3ヶ月:乗り越えるべき「日本語優位」の壁
意識すること:
この頃、日本語が中心になり、イタリア語で話しかけても「日本語で言って」と返ってくることが増えました。
多言語育児で多くの親が経験する、いわゆる「難しい時期」です。
子どもが日本語でのコミュニケーションに安心感を見出すのは自然なこと。
なので、焦らず、しかし諦めずにインプットを続けました。
実践例:
「サンタさんに欲しいものをお願いする」というイベントを利用して、「イタリア語を勉強します」という条件をつけてもらいました。
これが効果抜群で、今まで嫌がっていたイタリア語に積極的に取り組むように!
この機会を逃さないように冬休みは、パパとイタリア語・英語で遊ぶ時間を増やしました。
これにより、自然な形でイタリア語や英語のフレーズが口から出るようになりました。
3歳5ヶ月〜3歳7ヶ月:再び「環境」が言葉を引き出す!
意識すること: 「使う環境」は言葉の習得を加速させます。
一時的にでも多言語環境に身を置くことで、子どもの言語スイッチが切り替わるのを実感しました。
実践例:
イタリアに滞在し、公園で現地の子どもたちと遊ぶ時間を設けました。
すると、イタリア語しか通じない状況で、娘はイタリア語ばかりを話したがるように。
今までイタリア語を大量にインプットしていたのと、自分の「欲しい」ことや、「伝えたい」という気持ちが合わさってあっという間に話せるようになりました。
イタリア語の動詞の活用を覚えたり、その日の気分で英語・イタリア語・日本語を使い分けたりと、言語の柔軟性が高まっていく時期です。
私と英語で話したい時は、お互い知っている簡単なフレーズで会話を楽しむようにしていました。
※私は英語は留学以来使っていなかったのであまり覚えていなかったため、本当に簡単な文のみ。
完璧でなくても、「伝わる喜び」「言葉で遊ぶという感覚」「ママと楽しい時間を過ごしている」を感じることが重要です。
【4歳〜5歳半頃】多言語を「日常」に取り入れ、自ら学ぶ力を育む
4歳頃になると、言語だけでなく、文字にも興味を持つようになりました。
多言語を「特別な学習」ではなく、「日常の一部」として取り入れ、子どもが自ら学びたいと思えるような環境作りが重要になります。
読み聞かせとDVDで多言語を習慣にしていました。
意識すること:
言葉の習得とともに、文字への興味も出てくる時期です。
遊び感覚で文字に触れさせつつ、引き続き多言語でのインプットを習慣化しました。
実践例:
寝る前には、パパが英語の絵本を、私が日本語とイタリア語の絵本を読み聞かせる役割分担を決めました。
イタリア語はイタリア滞在で大分話せるようになったので、テレビを見たい時には英語のDVDにすることにしました。
我が家の週末の楽しみは、家族で英語のDVDを楽しむことを習慣にしました。
お人形遊びもパパとは英語で。
遊びを通して言葉を自然に使う機会を増やしました。
「ABCを書く本」に興味を持ったことをきっかけに、アルファベットを書き始めました。
子どもの「やりたい」気持ちを大切に、自発的な学習を促すと面白いくらいにどんどん吸収します。
4歳4ヶ月〜4歳10ヶ月:日本語を大切にしつつ、英語への意欲を育む
意識すること:
イタリア語が学校の言語になったことで、家では日本語がおろそかにならないように意識する必要が出てきました。
出来るだけ日本人の子供と遊ぶ環境を作りました。
幸い、幼稚園にアメリカ人のお姉さんが英語を教えに来ていたので、たまに英語を使う機会もありました。
実践例:
イタリア語と日本語が混ざったり、日本語でなんて言うのか聞いてくることが増えました。
学校ではイタリア語なので、出来るだけママと過ごす時間を作る。
そして、夜の絵本はほぼ日本語にするようにしました。
絵本を読んでいるので、ひらがなをゆるく覚え始め、自分で絵本が読めることが嬉しいと感じるように。
ひらがなを他の子に教えてあげて先生に褒められたことが自信になり、一気にドリルを終えた時期でもあります。
「できた!」「褒められた!」という経験が、次の学習へのモチベーションになります。
日本語がおろそかにならないよう、私と娘で「お話作りゲーム」を始めました。
私が少し作って娘が続け、私がまた続ける…という流れで、言葉遊びを楽しみました。
娘が作ったお話を簡単な絵本にしてあげるのも、言葉への興味を深めるのに効果的です。
英語しか話せない子と出会い、「その子と遊びたいから英語で話したい」と言い始めたのは大きな転機でした。
「話したい」という気持ちが、何よりも強い学習の動機になります。